月額ゼロで実用アプリを配る構成と、無料枠の現実的な制約
個人が作ったアプリを、サーバー代もストアの年会費も払わずに配っています。実際に使っている構成と、無料枠ゆえに起きる問題への対処を書きます。
個人で作ったアプリを2つ運用していますが、どちらも月額の固定費がゼロです。 使っている構成と、無料枠だからこそ起きる問題への対処を書きます。
アプリを配るのにストアを使わない
1つ目は、カメラで問題を写して解くアプリです。 これは PWA(インストール型のWebアプリ) にしています。
理由は、Apple Developer Program の年会費を払わずに、 AndroidとiPhoneの両方へURLを送るだけで配れるからです。
- ストアの審査がない
- 年会費が発生しない
- ホーム画面に追加すればアプリのように使える
- 更新はデプロイするだけで全員に届く
友達に配るのが目的で、収益化する予定がないなら、この選択は素直に強いです。
代償として、カメラやファイルの扱いはブラウザでできる範囲に限られます。 それが許容できるかどうかが分かれ目になります。
バックエンドを持たない
このアプリはサーバーを持たず、ブラウザから直接AIのAPIを呼びます。 静的ホスティングだけで完結するので、配信コストが実質ゼロです。
そのぶん制約も生まれます。
- APIキーをアプリに埋め込めない(誰でも見られてしまうため)
- サーバー側でしかできない処理は選べない
前者への対処が、次の記事に書いた「利用者がキーを持ち込む」設計です。
この方針は、開発を手伝わせているAIエージェント向けのルールにも書いています。 書いておかないと、「バックエンドを立てればもっと速くできます」という 技術的には正しい提案が繰り返し出てくるからです。
サーバーが要る場合の無料構成
2つ目のアプリ「議事録メーカー」は、録音ファイルを扱うためサーバーが必要でした。 こちらも無料枠だけで組んでいます。
| 役割 | 手段 | 費用 |
|---|---|---|
| 音声の書き起こしと文章生成 | 生成AIの無料枠 | 0円 |
| Word文書の作成 | アプリ内で生成 | 0円 |
| メール送信 | メールAPIの無料枠 | 0円 |
| サーバー | PaaSの無料プラン | 0円 |
クレジットカードの登録も不要です。
無料枠で実際に困ったこと
構成は組めますが、無料枠には固有の落とし穴があります。
1. サーバーが寝る
無料プランのPaaSは、一定時間アクセスがないとスリープします。 次に開いたとき、起動に1分ほどかかります。
これは故障ではないのですが、使う人には故障に見えます。 「壊れてる」と言われる前に、そういう仕様だと伝えておく必要がありました。
2. 1日あたりの回数制限がある
生成AIの無料枠には1日の呼び出し回数の上限があります。 上限に達すると翌日まで待つことになります。
日常的な使い方なら足りますが、設計の段階で呼び出し回数を意識しておく必要があります。 「精度を上げるために2回呼ぶ」という判断が、無料枠では機能の停止に直結します。
3. メールが届かない
これが一番厄介でした。
見慣れないドメインから送られるメールは、キャリアメールの迷惑メールフィルタに弾かれます。 アプリが完全に正常でも、メールだけが届きません。
対処は2つです。
- 受信側に、送信元アドレスを受信許可リストへ登録してもらう(事前に必ず依頼する)
- メール送信を必須にせず、ファイルをダウンロードするだけでも完結できるようにする
2つ目が保険として効きました。無料の外部サービスに依存する部分は、 それが動かなくても最低限の用は足りる形にしておくと安全です。
無料枠だから軽視してよい、わけではない
費用がゼロでも、使う人にとっては同じアプリです。 「無料だから多少不便でも仕方ない」で済ませると、単に使われなくなります。
スリープするなら先に伝える。メールが届かないなら別の受け取り方を用意する。 無料枠の制約は隠すのではなく、設計と説明で吸収するものだと考えています。
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